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クオリア第3回エキサイティングクラシックコンサートご報告


12月22日(日)。朝からよく晴れ、すっきりと澄み渡った空。

演奏者の皆様と観客の皆様が一体化し、正にエキサイティングな雰囲気に包まれて、本年も無事にコンサートを終演いたしました。

前半まず第1曲目は、オーボエ界の若き巨匠・古部賢一さんと、昨年度オーディションの大賞、戸田恵さん(ピアノ)による、サン=サーンスのオーボエソナタ。この日の澄み渡った空のように清らかなオーボエの音色、洗練された匠の表現に、戸田さんもしっかりと感化され、寄り添うようなピアノでした。

終わってから、古部さんは2曲目があるにも関わらず、戸田さんにインタビューをしてくださいました。演奏されているときは大人っぽい雰囲気で、既に風格さえ備えていらっしゃる戸田さんですが、古部さんにマイクを向けられると少しはにかまれ、可愛らしい一面ものぞかせてくださいました。フランスで長く勉強され、数々の受賞歴をお持ちの戸田さんは、フランスものを皆様にお届けしたかった事、けれどもこの先、それ以外の作曲家のものにも精力的に取り組んでいきたいと、しっかりとした口調でお答えになりました。

そして第2曲目は、弱冠16歳のヴァイオリニスト・内尾文香さん(昨年度オーディション大賞)が、錚々たる面々に囲まれて、モーツァルトのオーボエ四重奏曲を演奏。オーボエ・古部賢一さん、ヴィオラ・大江のぞみさん、チェロ・林裕さんにしっかりと支えられ、初めての室内楽経験とは、俄かには信じがたい内尾さんの堂々たる演奏に、トップアーティストの方々も非常に驚かれ、お喜びになっていました。何とも言えない美しいモーツァルトの世界と本物の音楽に、観客の皆様の集中度にも、物凄いものがありました。

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左からオーボエの古部賢一さん、ヴィオラの大江のぞみさん、
ヴァイオリンの内尾文香さん、チェロの林裕さん

そして十分に温まった観客席は、期待感を更に高め後半へ。最初に、内尾文香さんと、大谷玲子さんの2台ヴァイオリンのためのソナタ/プロコフィエフ。百戦錬磨の一流ヴァイオリニスト・大谷さんを相手に、若い才能はその反応の良さと感覚の鋭さをもって、引けを取らない熱演。2台のヴァイオリンでこれだけの表現ができ、胸を打つものなのかと、その場にいた誰もが感じ入った事と思います。社会主義リアリズムを匂わせる音楽とその時代の緊張感は、存分に聴く側の心に届きました。現在の日本における不穏な空気に思いをはせる人も、少なくは無かったろうと感じました。

曲間を挟んで、古部さんの絶妙な司会。内尾さんの可愛らしい魅力を引き出して頂き、その内に秘める情熱としっかりとした考え方、性格の良さも、古部さんのおかげで皆様にお伝えする事が出来ました。技術と感性の素晴らしさはもちろん、演奏中のアイコンタクトが既にできている事など、一流の方々に感心されていた内尾さん、これからのご活躍が楽しみでなりません。

そしてプログラムはあっという間に最後のラヴェルのピアノトリオへ。出だしからラヴェルらしいクリアなピアノの音色。戸田さんの「ラヴェルが好き」という想いが、見事に映しだされ、そこに大谷さんと林さんという最高の演奏が合わさるのですから、その激しいまでの美しさと言ったら、ご説明するまでもありません。ラヴェルといえば管弦楽。3つの楽器だけで、オーケストラを思わせる多彩な音の世界が作り上げられて、迫力と切なさは観客の心を魅了しました。ピアノにとっても、ラヴェルのトリオは難曲中の難曲ですが、戸田さんはしっかりとご自分の物にされ、人々を魅了しました。今回の貴重な経験を通じて更に深められたことと存じます。益々のご活躍を、心からお祈り申し上げます。

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左から、林裕さん、大江のぞみさん、内尾文香さん、
戸田恵さん、大谷玲子さん、古部賢一さん

終わって、このあたたかい雰囲気を、もっと多くの方々にお伝えしたいという気持ちで、いっぱいになりました。一流の演奏家の皆様の、どれだけお優しい事か、どれほど音楽と後進の育成に熱い思いをお持ちの事か、言葉では上手にお伝えできません。コンサートへいらしてくだされば、それは必ず伝わります。それが、観客の皆様の心をあたたかくするのです。

どこまでも伝播していくように、音楽で多くの人が繋がれるように、私達NPO法人con briOは、一つ一つを大切に、歩みを進めて行きたいと存じます。

決意を新たに。

感謝。

2013年12月25日
NPO法人con briO
クオリア音楽フェスティバル実行委員会